第1公演地 
ニュージーランド 
ウェリントンにて
劇場前、このタウンホール
(大ホール)は以前ビートルズも
公演したことのある
由緒ある劇場です。

劇場客席にて

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2004年8月 
ニュージーランド・オーストラリア歌舞伎レクチャーデモンストレーション公演報告記 その1
 

「前説」

 この度は、国際交流基金主催の平成16年度日本文化紹介派遣事業の一環として、ニュージーランドで初めて歌舞伎を紹介するという大任を仰せ付かった。合わせて、オーストラリアの国際交流基金の新ギャラリーオープン記念のイベントも兼ねてのツアーである。私はこの国際交流基金の派遣事業には過去2回ほど携わっているが、今回は初めて松竹(株)の製作によるものである。実は3年前の10月に交流基金主催、松竹製作で南米(ブラジル・ウルグアイ・パラグアイ)へ同事業で行くはずであったが、例の9・11のテロ事件の為、渡航が困難となり中止となった経緯がある。今回の公演はその時作成した未使用の台本を踏まえ、また、改めて海外でどうしたら歌舞伎がより良く理解されるか、基金サイド、松竹サイド、同行する俳優諸氏と協議を重ね、レクチャー内容を検討しプログラムを組んだ。
 全体で150分以内という枠の中、まず初めに私が歌舞伎の歴史を簡単に説明したあと、女形について実演を交えて解説、これが30分強。次に信之氏の解説で又之助氏が荒事の梅王丸の扮装(化粧、着付等)と実演、これが60分。最後に私が女形舞踊の「鷺娘」(30分)を踊ることに決まった。これがベストのプログラムだとは思わないが、一筋縄ではいかない歌舞伎をどう解説し、どう翻訳し、どう理解してもらうか、それは海外公演にいつも付きまとう問題である。我々はこの入門編で歌舞伎に興味を持ってくれた人々が、その後「グランド歌舞伎」がその国を訪れた際に必ず足を運んでくれることを願う。このレクチャーデモンストレーション公演はそういう草の根的活動だと思っている。国内関係者、各機関の方々には、我々のそういった苦労と責任感を是非深く理解していただきたい。その点、受け入れ側の各大使館、領事館また地元の有志の方々には親身なるサポートを頂き、現場での様々な困難をクリヤー出来たことは感謝に絶えない、心より御礼を申し上げる次第である。

レクチャーのリハーサル
通訳のメラニーさんと
レクチャー本番
メラニーさんは日本の着物がよく似合います。
「鷺娘」の舞台面
後見は又之助丈と信之丈です
終演後のレセプション
齋藤大使ご夫妻とJAPAN FESTIVAL
主催者とご一緒に

第2公演地 
ニュージーランド 
クライストチャーチにて
クライストチャーチ
リハーサル風景
通訳のアンドリューさんと
リハーサル風景
通訳のまじめで愛妻家のアンドリューさんと
「鷺娘」 幕切れ
バックの板羽目がいい感じでした
NZ クライストチャーチ
ガーデンシティーといわれるきれいな街並です。

第3公演地
オークランドにて
オークランドの舞台面
装置も照明も完璧でした
オークランドの舞台調べ
舞台監督の高久さん、照明の袰主さん達と

第4公演地
シドニーにて

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シドニーの化粧前
開演5分前です
シドニーの免税店で
大きな羊さんと・・・

ニュージーランド・オーストラリア歌舞伎レクチャーデモンストレーション公演報告記 その2
 
思い出拾遺

1、NZ・ウェリントン

  とにかく風が強くて驚いた。「Windy Wellington」という俗称があるように、風が名物になっているくらいである。公演は無事に終了したが、物凄いハリケーンが襲い、2日も足止めを食らう。これには参ったが、大使、公使、職員の方々の親身なるお世話のおかげでなんとか乗り切る。私がなにより嬉しかったのは、NZで初めての歌舞伎公演として、客席の反応がとてもよかったことで、ジャパンフェスティバルの一環としての大任が果たせたことである。


2、NZ・クライストチャーチ

 日程に余裕があったので、第2公演の当地に支障がなかったのがなにより。ここはガーデンシティーとよばれるほど美しい都市。南半球だから季節が逆で、春の花盛りのクリスマスとのこと。その時分に来てみたい。会場のアートセンターはカンタベリー大学の旧校舎で、今では一大芸術村として当地の文化活動の拠点である。ゴシック様式の建築が素晴らしい。会場に入り切れない観客続出で、誠に申し訳ない。お世話役の駐在官事務所の玉置氏が、「やはり公演は二日間にすべきだった」と悔やむことしきり。
山田参事官がもてなして下さったNZ産の白ワインがとても美味しく、私はいっぺんでファンになった。

3、NZ・オークランド

 鈴木総領事主催の夕食会で、当地で活動されている日舞家の花柳寿於輔師にお目に掛かる。NZに歌舞伎を招きたいと尽力されてきた方で、今回レクチャーというかたちにもせよ、初めて歌舞伎がNZで紹介されることを心から喜んで下さる。こんな熱い想いがあったのかと我々も気持ちを新たにして、舞台に臨む。当地のオークランド大学内の会場は舞台設備的にほぼ完璧で、いい条件で舞台を勤めることが出来た。寿於輔師は、東京 歌舞伎座の地下ギャラリーに「寿於輔人形」という紙人形のコーナーをお持ちになっている。昨年末に日本に帰られ、このコーナーをリニューアルされた(写真参照)。皆様も是非ご覧下さい、私達のNZでの舞台が再現されています。こんなにも喜んで下さった寿於輔師御一家と領事館の皆様に心から御礼申し上げます。

4、オーストラリア・シドニー

 当地は交流基金の新ギャラリーオープン記念のイベントとして招かれた。しかし、会場の工事が終ったのが当日の朝で、関係者は「これがオーストラリア流ですよ」と呑気なものだが、我々は唖然として声も出ない。案の定、トラブル続出で舞台稽古中断。そういえば数年前のシドニー公演の時も日程的に無理があって、つらい経験をしたことを思い出した。交流基金シドニー支局の方々は皆さんいい方ばかりで、悪気のないのは解かっているが、例えば当日の朝など、皆で一丸となって荷物を運び入れるくらいの協力体制は取れぬものだろうか?船頭多くしてなんとやら、私達が望むのは制限された時間と空間で完璧な仕事をこなせねばならぬその私達の責任感を共有し、共に汗水流す現場体制である。妄言多謝。


歌舞伎座地下通路ギャラリー 思い出の寿於輔(じゅおすけ)人形
寿於輔師のお心のこもった
お言葉も添えられています。
歌舞伎座の地下ギャラリーへ
是非お越し下さい。
寿於輔師が丹精込めて作って下さいました。
通訳さんも居ます!
※現在は展示されておりません


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