この映画はまず、1968年にメル・ブルックスの監督・脚本により、ひと捻りしたバックステージ物の映画として誕生した。これが傑作との評判高く、次いで2001年、同じくメル・ブルックスの製作・脚本・作詞作曲により、今度はミュージカルとしてブロードウェイで舞台化された。それが空前のヒットとなり大ロングラン。そしてそれがさらにパワーアップして、ミュージカル映画として再び映画化されたのが今作品。いわばシネマ版ブロードウェイミュージカルといった創りで、まるで本場の舞台を観ているような臨場感さえある。映画的手法と舞台的手法の融合という点では「シカゴ」に軍配が上がるし、前作の映画ほどの苦味や皮肉も足りない。しかしこの映画は9.11事件後の「I LOVE NY」的スタンスが根本にあり、つまりブロードウェイ賛歌。それを前提に観れば、演者は皆素晴らしくて、上手くて、いやもう楽しい楽しい!